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マレーシアのIT最前線

マレーシアは2020年に先進国入りを果たすため、さまざまな施策を講じています。その一環として、政府は早くからデジタル化の重要性に気づき、90年代にはIT企業の誘致に力を入れ、優遇措置であるマレーシア・スーパーコリドー(MSC)ステータスを導入。IT関連企業が集まる「サイバージャヤ」も建設しました。

政府はデジタルエコノミーのイニシアティブである「デジタル・マレーシア」を2012年に策定。2013年にはマレーシア・デジタル・エコノミー公社(MDEC)が設立され、デジタル化する企業へのサポートや子どもたちへの啓発活動も行われています。2017年にはデジタル自由貿易区(DFTZ)が中国のアリババ集団と連携してクアラルンプール国際空港(KLIA)内に設置されました。こちらは香港にもある同様の自由貿易区よりもコストが3分の1近くも削減でき、多くの企業から注目されています。

デジタル・エコノミーの確立はマレーシアにとって先進国入りする要として位置づけられています。デジタル・エコノミーは2020年までに国内総生産(GDP)の20%を占め、今後も大きな成長が見込まれています。

また、デジタル・エコノミーの一環として、Eコマースがマレーシアでは盛んになりつつあります。プラットフォームへの信頼性の低さや誤配送といった問題もありますが、周辺国と比較しても所得水準が高く、スマホ普及率が高いため、Eコマースは生活にはかかせないアイテムにマレーシアでもなっています。

今回はIT最前線と銘打ち、ローカルへのデジタルマーケティングの心得とITを駆使した業務の効率化といったお話をその道のプロに聞き、それら関連の日系企業が行ってきた事例とともにご紹介します。  

【情報提供】JETRO及びMDEC


ローカルへのデジマケの心得

ローカルへのマーケット拡大はマレーシアに進出した日系企業の大きな課題です。長年、PRを行ってきているPR会社Global Creative and Media Agency(GCMA)のアダム・ハムさんにその心得を聞きました。


M:マレーシアでのデジマケの重要性について教えてください。

アダムさん:昨年から新聞購読の需要が大幅に減ってきています。ネット上でほとんどどんな情報も得られるので、マレーシアのどの企業も新聞ではなく、デジマケの重要性を認識し、より特化するようになっています。FacebookやYouTubeに広告を出すようにもなってきています。

M:マレーシアでデジマケをした際の効果を教えてください。

アダムさん:PR会社としてこれまでに日系企業も含めて多くの企業のPRを行ってきました。最近では健康器具のジンテル社のPRを担当しています。マレーシアの俳優を起用し、ビデオクリップを作成してYouTube上で放映したほか、SNS上での広告、サイトの刷新を行うことで、SNSでのフォローワーの増加と市場拡大を果たし、売上に大きくつながっています。

M:ローカルマーケットに参入するにはデジマケが必要になるかと思いますが、気をつけることは何かありますか。

アダムさん:日系企業はマレーシアのことを理解する必要があります。言語や民族、宗教、地理、教育事情、慣習、習慣などです。マレーシアの人たちは多様で複雑な背景を持っているので、定めた市場で成功するにはこれらの要素を理解することが重要です。  

M:ずばり、マレーシアではデジマケで十分ですか。  

アダムさん:いいえ。デジマケはマーケティングを成功させるうえで絶対的な解決方法ではありません。デジマケは企画の効果を掛け算にする不可欠なアイテムですが、展示会やテレビ放映、店頭デモといった方法での補完を行うことも重要です。マーケティングにベストな方法はありませんが、予算によって最適な方法を選ぶことはできます。


IT関連で業務の効率化で知っておくべきことは?

非常に複雑かつ専門的な知識が必要になるIT関連業務。当地ではさまざまな事情からオフィスや工場の環境を整えるのに時間がかかるようです。そこで、マレーシアにおけるIT関連業務の効率化について、フューチャー・スピリッツ・マレーシアのウイさんにお話を伺いました。


M:日系企業がIT関連業務の効率化を図る上で必要なことは何ですか。  

ウイさん:これは、IT関連業務専門のチーム・スタッフをもたない企業様へのアドバイスになりますが、IT部門を思い切って外部にアウトソーシングするという方法がおすすめです。  

IT専門スタッフが社内にいないと、本業のマネジメントをしながらIT関連業務を進めるので、非常に時間がかかる、適切な環境を整えるのが難しいなどの課題に直面します。当地では突然、ネットが不通になるなどのトラブルが不定期的に起きるので、ローカルのITサービス界隈の情報に精通しているプロのサポートが受けられるようにしておくことで、そうしたトラブルもスムーズに乗り越えられることができると思います。

:その他業務の効率化について、対策しておいたほうがいいことはありますか。

ウイさん:当地のローカルスタッフの方は、セキュリティに関する意識が甘い傾向にあります。重要書類を無料のSNS上でやり取りする、スパムメールを開いてウィルス感染を引き起こすなどというケースも。こちらではITリテラシー教育が充分ではないので、こうした事態を避けるのは難しいです。先手を打ってネットワークに制限をかけるなど、セキュリティ環境を整えておくことも、業務の効率化に貢献するのではないかと思います。

 

デジマケを高めるSNS5選!


ローカルへのデジマケならこれを使おう

マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)は「インターネットユーザー調査」を毎年発表しています。2017年度の調査でよく使われているSNSは次のようになります。 調査ではソーシャルメディア(SNS)を利用する2,190万人のうち実に97.3%がフェイスブックのアカウントを保持。実に総人口の約8割が保持している数字で、圧倒的な使用数です。ただ、前年からは若干利用者数が減ってきているようです。 次に多いのがインスタグラム。56.1%がアカウントを持っています。ローカルへの市場拡大にはこの2つを駆使することが必須と言えそうです。 また、映像中心のユーチューブも人気があります。45.3%の人たちがアカウントをもち、利用しています。 このほか日本ではあまり使われない中国系のWechat Momentが43.7%、Google+が28.3%の人たちが利用しています。これら5つのSNSを駆使してデジマケをすれば、効果があがることでしょう。 一方で、日本人の間でよく使われるLINEは7.6%にとどまっています。コミュニケーションツールとしてもマレーシアの人たちの間ではあまり使われていないのが実情です。

SNS survey2

マレーシアIT最前線