
【旬な話題を訊くVol.9】スマートな働き方ポストコロナのオフィスはますます効率重視型に
今回お話を伺ったのは……
KDDI MALAYSIA Sdn. Bhd Managing Director
松浦真樹氏
2020年、世界を席巻したコロナウィルスは人々の働き方を大きく変えた。多く人が自宅勤務を中心とする生活になり、毎日大勢が同時に出社する風景が消えつつある今、旧来型のオフィスは、その機能と在り方を見直す必要が出てきている。
電気通信事業の日本最大手KDDI株式会社の子会社であるKDDIマレーシア(KDDI MALAYSIA Sdn. Bhd)は、この変遷に早期から着目していた。現在、主力の通信事業を活かし、更に一歩進んだ新しいサービスを展開中だ。
貴社のサービス概要を教えてください
マレーシアに新しくオフィスを構えられる企業様、またオフィスの移転や改装をご検討される企業様に対して、包括的なコンサルティングをさせていただいています。
IT事業者の観点から最適な不動産をご紹介することに始まり、内装工事の設計デザインと実際の施工、そこにインフラ構築とITサービスをあわせてご提供いたします。KDDIの熟練したエンジニアが全てのプロセスを通気一貫で行うことによって、企業様のご要望と課題に速やかにお応え出来るのです。
さらに当社では2020年度から、あらゆる社内設備をネット通信を介してシステムと連動させた「IoT スマートオフィス」をご提案しております。これは、従業員の働きやすさと省エネや業務効率の向上を求める企業様に、今もっとも注目されているサービスです。
コロナによる影響とその後、
働く環境はどう変わりますか?
昨年突如始まったロックダウンの直後は、オフィスのサーバーへのアクセスや情報セキュリティーについてのお問い合わせが増えました。そこから1年間、多くの方にとって自宅勤務が常態となりつつある今、より効率的に、より安全に、何処からでも仕事が進められる環境が求められています。同時にオフィスの場所としての役割も変化していきます。変化していくけれども存在自体が無くなりはしないと私は考えています。従業員同士が実際に顔を合わせて対話し、そこで偶発的に生まれるアイディアは事業躍進にとって重要なものですし、従業員個々の精神衛生を保全するという意味でも中長期的な経営策としては必要なことです。
つまり経営者の方々は現在、「リモート業務の効率化」と「ハコ(オフィス)の最適化」、この2点を同時に考えていく必要があります。この流れは以前より始まってはいましたが、コロナにより一気に加速して、今後も続くと見ています。
リモート(遠隔)業務の効率化に
必要なことは?
これまで実際の対面で行なっていた業務をオンライン上で完徹できるようにする、所謂「デジタル・トランスフォメーション(DX)」が必要です。会社のサーバーにリモートアクセスして、滞りなく作業が出来るようにするのは必須で、これは今では大部分の企業様が導入されています。その状態に加え、社内のプラットフォームづくりが必要になってきます。例えば、これまでエクセル表をプリントアウトして行なっていた勤怠管理や出張精算もオンラインで出来るようにし、署名や判子も全て電子化して手元の端末上で完了できるようにします。さらにオフィスの電話をクラウドフォンに(クラウド化)すれば、オフィスの外からでも、連絡先の共有や海外にある本社やクライアント先への通話がスムーズになります。
新しいハコ(オフィス)には
どのような機能が必要でしょうか?
指定された時間と場所で業務を行うような旧来型のオフィスから、より効率を重視したオフィスの形にニーズが変わっていくでしょう。「Activity Based Working (ABW)」という言葉がありますが、一人で集中したい時には個室に、同僚との対話が必要な時はカフェのようなラウンジに、従業員がその時やるべき業務に対して、どの場所でやるのが最も能率が上がるかをノートパソコンを持ち運びながら選べるようなオフィスが求められています。また業種によってはトレーニングジムや仮眠室など、自宅とは違う環境を備えることで、自由な働き方に惹かれて人材が集まりやすくなったという企業様もいらっしゃいます。
更に今後は、オフィスのスマート化が必要となってくるでしょう。前述の通り、これを当社ではスマートフォンやスマートウォッチと同義の「IoTスマートオフィス」として提唱しています。例えば、会議室の中にセンサーを取り付けて、日々の利用率を計測、システム上で可視化することによって、無駄なコストを削減することが可能です。また、室内の二酸化炭素濃度の上昇に合わせて空気を自動的に調整する天井のベンチレーションシステム(換気設備)など、空気の調整は従業員の能率を上げるのに有効で、非常に衛生的なので、人々がコロナを経験した今後はさらに需要が伸びるのではないかと予想しています。
今後の目標は?
当社のサービスは、通常のオフィスに限らず、小売店や飲食店、工場などにもご提供が可能です。対面でのお打ち合わせが難しくなっていく中で、この空間設計とI Tを融合した新たな価値をいかにしてお客様に訴求していくのか、オンラインはもちろんのこと、今後はバーチャル・リアリティ(V R)やオーグメンテッド・リアリティ(A R)の技術なども駆使しながら、当社とお客様との新たな接し方も併せて模索していきます。そして、日系企業様のみならず非日系企業の方々にも積極的にご提案をしていきたいと考えています。
KDDI MALAYSIA Sdn. Bhd.
Letter Box, 125, 24th Floor, UBN Tower 10 Jalan P. Ramlee, 50250 Kuala Lumpur
TEL:03-2070-5455