マレー半島高速鉄道計画を中止 首相「まったく利益がない」
ナジブ前首相が進めていたクアラルンプールとシンガポールを結ぶマレー半島高速鉄道計画が中止となった。マハティール首相が5月28日に発表した。
同首相は、1110億リンギのコストがかかる高速鉄道事業は必要ないと述べたうえで、「1センたりとも利益にならない」と理由を語った。
前政権はすでにシンガポール政府と敷設に関する協定を結んでおり、同国政府と協定解除などに関する協議を今後行う。協定では違反が発生した場合、違約金が約5億リンギと規定されており、今後の焦点は同国政府とどう折り合いをつけるかに移る。
この事業はクアラルンプールとシンガポール間の350キロを結ぶ大型公共事業として国際的にも注目されていた。両都市間を90分で結び、2026年に開通する予定だった。日本や中国、韓国も高速鉄道の売り込みに力を入れ、日本政府もトップセールスを行っていた。
また、前政権の肝いりでもあった東海岸鉄道リンク事業についてもマハティール首相は疑問を呈し、敷設を行っている中国企業と再交渉していることも明らかにした。この事業も中止になるとみられる。
この2つの事業を停止すれば、債務1兆リンギのうち5分の1をカットできるとの見通しも示した。
マハティール首相はまた、30日に首都圏の環状線となるMRT3号線の建設敷設を中止したことも発表した。2025年に完工予定だった。