2万5千リンギと設定か 中銀、現金取引の上限導入で
マレーシア中央銀行(バンク・ネガラ、BNM)はマネーロンダリングなどの金融犯罪抑制策の一環として、来年から現金取引の上限を2万5000リンギに設定する現金取引制限(CTL)制度の導入を計画している。年末まで利用者から意見を聴取する。
商品やサービスの売買のほか、個人的な取引、寄付も含まれる。ただし認可を受けた商業銀行やイスラム銀行、両替所、所定の金融機関を通じて行われた取引については、すでに厳しい報告義務が課されているため適用免除される。また人道支援や災害救助など「緊急事態」における取引は財務省の承認があれば適用免除される。
提案が実施された場合、一回の取引で限度額を超える現金取引はできなくなり、クレジットカードや小切手などの電子決済を使う必要がある。この制限を回避しようとした場合には支払い元だけでなく受け取り先も違反行為とみなされる。
中銀のアブドル・ラシード・ガフォー副総裁は、「CTLは多くの国で実施されているもので、特殊な制度ではない。現金取引は追跡が難しいため、違法行為を抑制するためにはCTL導入が必要だ」と述べた。
中銀によるCTL導入案について、マレーシア製造業者連盟(FMM)ペナン支部のオオイ・エンホック会長は、特定の金融犯罪防止には有効手段になるかもしれないが、企業にとっては困難になると指摘。2万5000リンギの上限は低すぎると批判した。
マレーシア中小企業協会も同様な意見で、マイケル・カン会長は「中小企業の場合、サプライヤーは安全のために常に現金での支払いを求めるため、最も影響を受ける」と指摘。2万5000リンギ以上の取引の場合には複数回に分ける必要があり、業務が煩雑になるとした。【アジアインフォネット11月11日付】