中国の湖北省武漢市が発生源とされる新型コロナウイルスは、1月29日現在で全世界の感染者が合わせて6000人を超えたほか、死者は100人を突破した。ほとんどの感染者は中国内にいるが、同日までにマレーシアで合計7人の感染が確認されているほか、ASEANではタイやシンガポール、ベトナム、カンボジアで患者が見つかっている。
マレーシアでの最初のケースは1月25日、ジョホール州で中国・武漢から来た中国人3人から見つかった。保健省はこの日、女性(65)とその孫2人(2歳と11歳)に新型コロナウイルスの陽性反応があったと発表した。なおこの3人は、シンガポールへ20日に入国後、同国内で感染が認められた66歳男性の家族だという。
翌26日には4人目の感染者が確認された。こちらも武漢からの渡航者だが、上記の家族とは関係のない男性(40)。22日にシンガポールからバスで17人の団体ツアー客のひとりとしてジョホールバルに入った。
さらに29日には新たに3人の感染が見つかった。スンガイ・ブロー病院で観察されていた女性が陽性とは判定されたが、この患者は25日に陽性と分かった子ども2人の母親。そのほか、ランカウイの病院に入院していた子供(4)と、ジョホールバルで入院していた男性(52)の2人の陽性とわかった。
日本ではすでに、武漢への渡航歴のないバス運転手から陽性反応が見られ、ヒトヒト感染が確認された格好となっているが、マレーシアで見つかった感染者は今のところ「武漢からの渡航者」に限られている。
これらの状況を受けて、マレーシア政府は空港や国境地点での検査を徹底している。また、在マレーシア日本大使館は25日、感染予防を徹底するよう注意喚起を発出した。外出後のうがいや手洗いの励行、人混みの多いところでのマスクの着用、呼吸関連の病気の患者に近づかないよう求めた。また、武漢への渡航から2週間後に発熱などを起こした場合は迅速に病院で診察を受けるよう喚起している。
なお、保健省は新型コロナウイルス感染者の隔離・治療に応じる医療機関(全国で26カ所)のリストを公開している。