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2021年予算案を発表 総額3225億リンギの過去最多を計上 新型コロナ対策に注力-2020/11/09
2021年予算案を発表 総額3225億リンギの過去最多を計上 新型コロナ対策に注力-2020/11/09
2020.11.09
政治・社会
ザフルル・トゥンク財務相は11月6日、2021年予算案を議会で発表した。3月に発足した国民連盟(PN)のムヒディン内閣発足後初めての予算案となった。予算額は総額3225億リンギの過去最多を記録し、希望同盟(PH)のマハティール前政権時より8・6%増の規模となった。新型コロナウィルスのパンデミックで国内経済に甚大な影響が出ていることから国民の健康と国内経済の回復に特化した予算となった。
予算額の内訳は歳出総額が2365億リンギで、開発費が690億リンギ。2021年の国民総生産(GDP)比に対する政府負債は5・4%と見積もる。2021年の国民総生産(GDP)伸び率は6・5~7・5%と予測。また、来年は経済状況が回復し、原油価格が高くなるとの見通しにより、来年のインフレ率は2・5%と予測している。
2020年の総歳出は3147億リンギで、当初の予算額より177億リンギ膨らんだ。新型コロナウィルス感染拡大に伴う緊急経済対策が主な要因。2020年の財政赤字額はGDP比6%に達すると見込み、当初目標の3・2%から大きく増えると見込んでいる。
同相は「国民の健康、ビジネス活動の続行、経済活動の維持」を最優先にして予算を組んだと説明した。
同相は現在の新型コロナウィルスのパンデミックの状況について「参考になるようなガイドラインも過去の例もない。需給に衝撃を与え、供給網を混乱させ、ビジネス活動を抑制する未曾有の危機にある」との認識を示した。パンデミックの影響は「2021年にも影響は引きずる」との見通しを示した。
新型コロナウィルスのパンデミックの影響緩和対策の予算として200億リンギを計上。現在の新型コロナ基金450億リンギから計650億リンギに引き上げた。また、ワクチンの購入金額として30億リンギのほか、第3波に備えた準備金として10億リンギも計上した。
主なポイントは下記の通り。財務相の全テキスト(マレー語)は財務省ホームページに掲載されている。
■補償関連 ・低所得者向けの補償(650億リンギ) 世帯月収2500リンギ以下の場合 -子ども1人以下の世帯に1200リンギ、2人以上の世帯に1800リンギ 世帯月収2501~4000リンギの場合 -子ども1人以下の世帯に800リンギ、子ども2人以上の世帯に1200リンギ 世帯月収4001~5000リンギの場合 ―子ども1人以下の世帯に500リンギ、子ども2人以上の世帯に750リンギ 単身で月給2500リンギ以下の労働者には350リンギの補償(21~40歳に限定) 貧困層(B40)800万人に1人あたり通信費として180リンギ ・雇用保険制度の延長(1億5000万リンギ) -求職手当3カ月間延長。最初の月は給与の80%、2カ月~6カ月は50%、最後の3カ月間は30%まで補償
■賃金補償(20億リンギ) ・月給1500リンギ以上の労働者へのインセンティブとして、月額一律の800リンギから月給の40%に引き上げ(最大給与4000リンギまで)。期間は6カ月。 ・障がい者、長期失業者、解雇者を雇用する事業主には、従業員の月給の20%の追加インセンティブを補償。期間は6カ月。 ・建設・プランテーション外国人労働者の依存度が高い分野で、外国人労働者をローカルの労働者に交替させた場合、月給の最大60%(雇用主の月給40%、ローカル従業員の月給20%)を6カ月間補償。 ・観光業及び小売業への賃金補償は3カ月延長 -月給4000リンギ以下の従業員に対して月額600リンギを補償。1回の申請につき200人の従業員枠を500人に拡大。
■減税関連 ・配偶者と子どもを含む重度疾患の医療費の減税限度額が6000リンギから8000リンギに引き上げ ・年収5万1リンギから7万リンギの労働者の所得税率1%まで引き下げ
■インフラ関係 ・地方のインフラ整備に27億リンギ -920キロの舗装道路敷設に13億リンギ -水道供給事業に6億3200万リンギ -電力供給設備設置に2億5000万リンギ ・デジタルインフラ整備に74億リンギ -学校430校へのデジタル化に5億リンギ ・高速道路や鉄道のインフラ事業に150億リンギ -パン・ボルネオ高速道路、ジョホール州グマスの複線化、首都圏の複線化(第1期) -ジョホールバルとシンガポールのウッドランドとの線路設置及び首都圏MRT3号線工事 -シンガポールとの高速鉄道(HSR)の続行 ・新規公共事業に38億リンギ -クラン第3大橋の建設 -キャメロンハイランズへの新規道路敷設 -クダ州クリムからペラ州グリックへの道路補修など ・河川へのゴミや廃棄物投棄問題に5000万リンギ
■インセンティブ関連 ・プリンシパルハブなどの税制優遇条件緩和を2022年12月31日まで延長 ・「グローバルトレーディングセンター」の設立に伴う税率10%の引き下げを5年間。5年間の更新が可能 ・マレーシアに移転する会社向けで、外国人経営者の特別所得税率を導入し、5年間にわたり15% ・マレーシアに移転する特定の製造業への特別税率を延長し、新たな投資に対しては 向こう10年にわたって所得税率0~10% ・東海岸地域経済開発回廊、イスカンダル・マレーシア、サバ経済開発回廊での税優遇措置を2022年まで延長
■その他 ・バス及び電車の無制限定期パスMy30に対して3億リンギ -1~6年生向けの子ども及び学校に通学する障がい者に対して無制限利用の定期パス(5リンギ)を提供。 ・新規輸入たばこ許可証発行の凍結 -たばこの輸入は指定港のみに限定 -免税対象となっている島でのたばこ製品への免税の廃止 -たばこ製品の再輸出の禁止 -すべての電子たばこ関連機器に対して2021年1月1日から物品税10%を課税 ・初めての住宅購入者向け譲渡証書・ローン契約書の印紙税の免除が2025年12月31日まで延長。印紙税免除限度額も30万リンギから50万リンギに引き上げ。2021年1月1日から2025年12月31日までに結ばれた住宅売買契約書が対象
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