苦境に直面する新聞業界 老舗の多くが経営難に
2018.11.10 経済・現地企業 マレーシア国内で発行されている新聞社が経営面で苦境にさらされている。マレーシアの各新聞の発行部数が激減していくなか、各社は生き残りに必死だ。
老舗のマレー語紙『ウトゥサン・マレーシア』は『ウトゥサン・ムラユ』として1939年にシンガポールでマレー語のアラビア表記ジャウィで発刊。1967年に『ウトゥサン・マレーシア』に変更し、1990年代には1日あたり35万部の部数を発行していたが、2017年下半期には約11万2000部(マレーシア発行監査局調べ)にまで減少。同紙は金融機関から借入金118万リンギあったが、債務不履行に陥り、10月末に企業債務処理委員会(CDRC)に債務再編の申請を行った。同紙は8月に債務不履行になったことをマレーシア証券取引所に迅速に通知しておらず、今後厳しい債務再編スキームを突きつけられることになる。
一方で、英語紙『マレーメール』はコストがかさむ紙面の発行を11月いっぱいでやめ電子配信のみに切り替える。スタッフの3分の1にあたる50人あまりのリストラも行うという。1896年に創刊した同紙は一時期は1日あたり10万部の発行部数を誇っていたが、現在は半分以下にまで減少していたとみられる。2005年に発行禁止措置を受けたこともあるが、その後もリベラルな論調が受け入れられていた。12月1日からはサイトのみでの配信になるが、この日は奇しくも同紙の誕生122年目の日となる。
このほか『スター』や『ニュー・ストレーツ・タイムズ』、『星州報』なども軒並み発行部数が伸び悩んでいる。特に『スター』は一時期、100ページ以上を毎日発行していたが、現在は40ページ前後にまで減少しているうえ、2017年下半期の部数は約20万部。2012年同期比で約10万部も減らしている。多くのメディアの運営会社は野党・国民戦線(BN)系の資本が入っているが、政権交代となった今、野党の政党自身が運転資金を確保するにも難しくなっており、今後新聞社への出資も変わっていく可能性もある。(『スター』10月25日付、『サンデイリー』10月27日付など)