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政府 2019年予算案を発表 来年の成長率予測は4・9%

2018.11.17 経済・現地企業
 リム・グアンエン財務相は2日、2019年度予算案を国会で発表した。5月の政権交代後、初めての予算案で、その内容が注目された。予算案は「信用できるマレーシア、ダイナミックの経済、繁栄する国民」がテーマ。制度改革や国民の福利、起業家文化の促進を主眼とするほか、国内経済向上のため12の重要課題を挙げた。
 2019年の歳入見込みは2618億リンギ。歳出総額は3145億リンギ。うち2598億リンギが一般予算で、開発予算が547億リンギ。省庁のなかでは教育省に対する予算配分が最多で602億リンギを計上した。
 2018年6月現在の政府負債は1兆650億リンギで、前政権の算出額より3500億リンギ高いと計算。前政権は政権交代直前の今年4月30日に政府ファンド1MDBの負債70億リンギを秘密裏に支払っていたとも財務相は指摘。今後さらに439億リンギの債務返済が必要だという。
 政府は2019年の国民総生産(GDP)成長率が4・9%と見込む。また、2018年の財政赤字は対GDP比で3・7%との予測だが、2019年は3・4%、2020年までに3%、2021年には2・8%に抑えるとする。これを実施するため、負債管理局を立ち上げる。
 今回発表された政府予算案の要旨については表のとおりだが、なかでも注目されたのは糖分の入った飲料品に対する税率導入、最低賃金の引き上げ、不動産譲渡の印紙税の引き上げ、ペラ州パンコール島の免税地区導入、スランゴール州クラン港向かいのインダー島(プラウ・インダー)の自由貿易地区導入が挙げられる。
 予算案については今月26日から12月6日の間に上下院で審議される。(『スター』、『ニュー・ストレーツ・タイムズ』11月2日付および財務省発表資料)
 
 

2019年度予算案のキーポイント

実施時期を明言した事項
内容 実施時期 備考
売上税の二重課税回避の「クレジット・システム」を導入 1月
特定サービスへの売上サービス税(SST)控除を実施 1月
特定業者への輸入サービス税を導入 1月 建築家やグラフィックデザイナー、ソフト ウェア開発業者など
全国一律で最低賃金月額1100リンギを導入 1月
ペナン大橋と第2大橋、ジョホールのセカンドリンクを利用する二輪車の通行料撤廃 1月
首都圏を走るラピッドKL運営のバスと電車の無制限利用の定期券(100リンギ)を導入。ラピッドKLバスのみの定期券(50リンギ)も導入。 1月
雇用保険システムをフルに実施するための失業者への支援 1月 スキル向上や失業補償を含む
来年1月から半年の間に30万リンギから100万リンギ相当の住宅を初めて購入する人に対する不動産譲渡書に貼付する印紙税を免除。
砂糖含有飲料税を導入 4月 1リットルあたり40センを課税。100ミリリットル中に5グラムの糖分を含む飲料と100ミリリットル中12グラム以上の糖分を含むフルーツジュースと野菜が対象
空路で海外に行くすべての旅客に課税開始 6月 ASEAN諸国へは1人20リンギ、その他は同40リンギを徴収
都市間を走るすべての高速道路料金の引き上げの凍結 来年中
 
項目別のキーポイント
交通関連 貧困対策
LRT3号線の建設の続行。建設費は当初計画より47%圧縮した166億リンギで実施
MRT2号線の建設費を当初の約22%抑えた305億リンギで続行
首都圏の電車複線化事業は再入札へ
世界初となる空港向け不動産投資信託(REIT)の導入
高速道路や道路、橋の建設に9億2600万リンギを配分
貧困層となる約410万世帯に対して総額50億リンギの資金援助を実施。1世帯あたりの収入が2000リンギ以下の世帯は1000リンギを支給。同2001~3000リンギの世帯は750リンギ、3001~4000リンギの世帯は500リンギが支給される
手頃価格の住宅向けに15億リンギを配分。月額2300リンギ以下の収入の人向けに中央銀行がファンドを設置し、特定銀行を通じて1軒15万リンギまでの住宅購入者に対しては住宅ローン金利を3・5%とする
貧困者向けの電気料金への補助金を導入。補助額は月40リンギ
不動産 ブロードバンド
法人や永住権をもたない人に対する不動産収益税は10%に引き上げ。マレーシア国籍保有者や永住権保有者の不動産収益税は現行の0%から5%に引き上げ
100万リンギ以上相当の不動産譲渡に対する印紙税を現行の3%から4%に引き上げ
50万リンギ相当の住宅を初めて購入する人は、30万リンギ分の印紙税は免税とする。ただし、2020年12月までの購入者に限る
100万リンギ以上相当の不動産の購入者に対する不動産譲渡書に貼付する印紙税は4%に引き上げ
国家光ファイバー接続プラン(NFCP)を導入。5年以内に地方や遠隔地域でも回線速度30mbpsを可能にする
固定ブロードバンド料金を年末までに最低25%引き下げるため、強制基準アクセス価格(MSAP)を実施
雇用関連 インダストリー40
所得税控除は、EPFまたは公認の年金ファンドへの4000リンギまで、およびタカフルまたは生涯保険へは3000リンギまで可能
月額賃金4000リンギを上限として高齢者を雇用する法人に対して税制優遇措置を導入
次世代ハイテク産業のインダストリー4・0への移行支援に2019年から2021年の間に2億1000万リンギを配分
オートメーション化などをする中小企業への融資スキームに20億リンギを配分
企業 高齢者対策
小規模製造業者が輸入業者から原料を購入する場合の減税向けの掛売制度を導入
資本が250万リンギ以下の中小企業で、年間50万リンギまでの所得に対する法人所得税は17%に引き下げる。
高分子物質を元にした、環境に優しいプラスチックの製造企業に対しては5年間のパイオニア・ステータス措置(法定所得のうち70%分が免税)などを実施
60歳以上の高齢者への雇用促進対策として、高齢者への従業員積立基金(EPF)を4%に引き下げ
健康関連 免税措置
低所得者層(B40)向けの国民健康保護基金を創設
政府系病院やクリニックでの乳がん検診などを無料提供
クルーズ客を対象にペナン州スウェットナム港に免税店を設置
ペラ州パンコール島に免税措置を導入。ランカウィ島の免税措置を拡大
スランゴール州インダー島の土地380ヘクタールを自由貿易地区にし、ポート・クラン自由地域とリンクさせる
ガソリン その他
RON95のガソリンへの補助金を導入。排気量1500CC以下の自動車と同125CC以下の二輪車が対象。1リットルあたり30セン。自動車に対しては月100リットル、二輪車は月40リットルを上限。また、RON95の価格は補助金導入後に変動性とする 環境テクノロジー産業に対して政府は20億リンギを配分
汚職取締庁(MACC)に前年度18・5%増の2億8680万リンギを配分
2020年の東京オリンピック向けにマレーシア選手に対して1億リンギを配分
ハラル産業の中小企業の能力を引き上げるため1億リンギを配分
2020年1月から、ソフトウェアや音楽、ビデオ、デジタル広告などのオンラインサービスをユーザーが輸入する場合は関税局への登録が義務付けられる
 
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