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アジア進出日系企業の実態、JETROが調査結果を発表

アジア進出日系企業の実態、JETROが調査結果を発表

2023.01.27 日系企業動向
日本貿易振興機構(JETRO)はこのほど、「アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」を公表した。これはJETROがアジア・オセアニア20カ国・地域に進出する日系企業の活動実態を把握し、その結果を広く提供することを目的に取りまとめているもの。マレーシアに関する調査結果は次のとおりとなっている。
2022年の営業利益見込みを「黒字」とした企業の割合は、マレーシアでは2020年度は50.0%、2021年度は59.7%、2022年度は63.0%と、2年連続で上昇。業績回復を続けたている。
2023年の営業利益見通しでは、ASEAN6カ国で共通して「悪化」比率が大幅縮小。マレーシアも「改善」比率が47.4%へと微増する一方、「悪化」比率は19.9%から7.4%へと12.5ポイント低下した。
事業拡大意欲は大幅上昇している。今後1~2年の事業展開の方向性について「拡大」すると回答した企業は、マレーシアは48.4%で、比率は前年の43.2%から5.2ポイント上昇。上昇幅はASEAN主要6カ国中最も大きかった。
製造原価に占める人件費の比率は、マレーシアでは21.1%、材料費の比率は58.5%。ASEAN主要6カ国中で唯一、2019年調査時点と比べて材料費比率が縮小に転じている。
他方で半数の企業がサプライチェーン見直しを検討しているもようだ。マレーシアで新型コロナ以降、何らかのサプライチェーン(生産・販売・調達)の見直しを行った企業は44.7%、今後見直すと回答した企業は54.2%と過半数に上った。

経営上のリスクはヒト


マレーシアのビジネス環境へのポジティブ評価(満足・まあ満足)は60.5%。「言語・コミュニケーションの容易さ」「駐在員の生活環境」がメリットに挙がる。
その一方で「人件費の水準」「ビザ・就労許可手続き」「離職率の水準」など人材に関わる問題に集中している。経営上の問題点として、マレーシアでは「従業員の定着率」を挙げる割合が特に高い。
脱炭素化に取り組む企業はマレーシアでは36.7%に上る。具体的な取り組みとして、特にマレーシアでは、「省エネ・省資源化」は73.9%、「再エネ・新エネ電力の調達」が54.9%と、ASEAN主要6カ国の中で最も高い比率を示した。
脱炭素関連の数値目標があると回答した企業は、ASEAN主要6カ国の中でマレーシアが最も高く、23.1%に達している。課題はコスト増や政府方針の不明確さ、意識の低さなど。脱炭素化へのインセンティブ不在を問題視する声も上がっている。

人権問題は経営課題


サプライチェーンにおける人権問題についての意識は、マレーシアで特に高い傾向がみられる。人権問題を経営課題として認識する企業の割合は、 ASEAN主要6カ国中マレーシアが最も高く65.7%。本社やグループ全体の方針によるほか、輸入制限を受けた事例や取引停止のリスク、業界特有の要請を理由に挙げたケースもある。
人権デューディリジェンスをすでに実施または実施予定と回答した企業の割合は、マレーシアでは48.5%に達している。これは人権問題への認識が高いことと連動し、ASEAN主要6カ国の中でも最も高い比率を記録した。
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