ホームマレーシアニュースJETRO、「海外進出日系企業実態調査」を発表-2022/02/09
JETRO、「海外進出日系企業実態調査」を発表-2022/02/09

JETRO、「海外進出日系企業実態調査」を発表-2022/02/09

2022.02.09 日系企業動向
日本貿易振興機構(JETRO)はこのほど、アジア・オセアニア20カ国・地域に進出する日系企業の活動実態を把握し、その結果を広く提供することを目的に「アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」を公表した。これを受けJETROクアラルンプール事務所では、マレーシア含むASEAN6カ国(マレーシア、シンガポール、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン)の結果を抽出し分析を実施、その結果を発表した。マレーシアなど各国の新型コロナ禍からの回復状況が具体的に記されている。
調査項目は、「営業利益見通し」「今後の事業展開」「通商環境の変化の影響」「経営上の問題点」「原材料・部品の調達」「輸出入の状況」「環境問題への対応」「デジタル関連技術の活用と課題」「サプライチェーンにおける人権に関する方針」「賃金実態」の10項目から成る。アンケート調査はオンライン配布・回収の方式を採っており、2021年8月25日~9月24日に実施された。対象は、北東アジア5カ国・地域、東南アジア9カ国、南西アジア4カ国、オセアニア2カ国の20カ国・地域に進出する日系企業(1万4,175社)で、うち有効回答数4,635社、有効回答率32.7%となっている。
【本調査結果の主要ポイント】 1.営業利益見込み、黒字比率は6割 ・2021年の営業利益見込みを「黒字」とした企業の割合はASEAN全体では57.1%。2021年中の操業規制強化などで稼働率が低下したマレーシアやベトナムは、「黒字」と回答した企業の割合が相対的に低かった。 ・マレーシアにおいては、黒字企業の割合は前年の50.0%から59.7%へと10ポイント近く上昇。とりわけ大企業の黒字比率は67.7%と、中小企業(41.1%)との乖離が際立つ結果に。 ・2022年の営業利益見通しでは、ASEAN6カ国で共通して「悪化」比率が大幅縮小。特にマレーシアは「改善」比率が58.7%へと躍進する一方、「悪化」比率も30.1%から4.9%へと減少
2.マレーシアでは43.2%が事業拡大に意欲、機能の多角化も ・今後1~2年の事業展開の方向性について「拡大」と回答した企業の割合は、ASEAN主要6カ国で10ポイント程度上昇。マレーシアも、「拡大」比率は前年の36.1%から43.2%へ。マレーシア進出日系企業のうち、製造業では一般機械、輸送機器、鉄・非鉄・金属が、非製造業では、情報通信業、販売会社、商社・卸売業がそれぞれ、業種大分類全体を上回る「拡大」比率を記録。 ・事業展開を「拡大」すると回答した企業のうち、拡大する機能として最多に挙がったのは「販売機能」。マレーシアでも「販売機能」とする回答が最大の51.2%を占めたが、「生産機能(高付加価値品)」(37.8%)と「生産機能(汎用品)」(36.6%)も他国と比して高く、機能の多角化が見て取れる。
3.経営上の問題点は「従業員の賃金上昇」が引き続きトップ ・ASEAN主要6カ国すべてで「従業員の賃金上昇」が最大の課題。前年との比較では、インドネシアやマレーシアなど各国で「競合相手の台頭(コスト面で競合)」とする回答の上昇も目立つ。マレーシアでは特に「従業員の質」や「競合相手の台頭」を問題視する企業の割合が高く出た。 ・進出日系企業の現地調達率は、マレーシアでは35.5%。ASEAN域内からの調達比率は、シンガポール(15.7%)とマレーシア(13.7%)で比較的高い。
4.脱炭素化への意識高めるマレーシア進出日系企業 ・脱炭素化(温室効果ガスの排出削減)への取り組み状況について、すでに取り組んでいる企業と今後取り組む予定のある企業を合わせると、ASEAN主要6カ国で6~7割。特にマレーシアは「すでに取り組んでいる」企業の割合が37.1%と高い。 ・脱炭素化に取り組む理由については「本社(親会社)からの指示・勧奨」がいずれの国でも最多であるが、とりわけマレーシアはその割合が74.8%と高い。具体的な取り組みとして、「省エネ・省資源化」が最多で、いずれの国でも2位以下を大きく引き離した。マレーシア進出日系企業は、各取り組みにおいて比較的高い比率を示した。
5.デジタル技術を活用している(予定含む)企業は6割、人材確保が課題 ・新型コロナウイルスの影響もあり、デジタル関連技術を活用する(予定含む)企業の割合は、ASEAN主要6カ国で6~7割、マレーシアでは66.1%。マレーシアにおいて「すでに活用している」割合は、製造業では電気・電子機器や同部品、非製造業では販売会社や金融・保険業で高かった。 ・デジタル技術を活用するメリットとして、「製品・サービスの品質が安定・向上」、「賃金上昇や労働力不足に対処できる」、「マーケティングの強化・販売先の拡大」などが上位であった。 ・デジタル技術を活用する際の課題として、「デジタル技術を扱える技術者等人材が不足」、「導入や運用のコストが高い」が各国で多く提起された。
6.サプライチェーンにおける人権、在マレーシア企業の7割が経営課題として認識 ・人権問題(適切な労働慣行・労働安全衛生の確保など)を経営課題と認識している割合は、ASEAN主要6カ国中マレーシアが最も高く66.7%。製造業では特に電気・電子機器部品と化学・医薬、非製造業では運輸業、販売会社、建設業などで回答率が高い。 ・経営課題として認識している理由について、日本本社やグループの方針、顧客(特に欧米)からの要望という回答はASEAN主要6カ国で共通。
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