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鉄道、シンガポール政府が「議論再開」を示唆

鉄道、シンガポール政府が「議論再開」を示唆

2022.08.28 政治・社会
2020年末をもって一旦、プロジェクトの中止が決定されたクアラルンプール~シンガポール間の高速鉄道(HSR)について、目下、マレーシアとシンガポール政府がいずれも「復活」に向けた意欲を見せている。
これは、イスマイル・サブリ首相が8月22日、高速鉄道プロジェクトについて「できるだけ早く復活を」についてコメントしたため。同首相はさらに、「両国の担当省庁が協議を進めている」と言及、実際にマレーシアのウィー・カーション運輸相と、シンガポールのイスワラン運輸相とHSRの今後について協議中であると述べた。
同首相はこの協議について「現在進行形の議論だ」とした上で、「マレーシアはクアラルンプール~バンコク間の高速鉄道をも計画している。可能な限り、高速鉄道に関する議論をスピードアップしてほしい」と期待感を示す。タイ国内では現在、高速鉄道が建設中であることから、マレーシアの高速鉄道が中国まで延びることを想定しており、「バンコク~クアラルンプール間、そしてクアラルンプール~シンガポール間を高速鉄道で結びたい」と述べた。
こうした状況に対し、シンガポール運輸省(MOT)は、マレーシア政府に対して「両国を結ぶ高速鉄道の新たな提案について、白紙状態から誠実に議論する用意がある。マレーシアからの新たな提案の詳細を待つ」と記した公開声明を発表した。
ASEAN各国では目下、新たな鉄道に関する話題が目白押しだ。昨年12月には、ラオスと中国・雲南省とが新たに中国ラオス鉄道(LCR)で結ばれた。一方、中国が敷設に携わってきたインドネシアの高速鉄道(ジャカルタ~バンドン間)向け車両がまもなく現地へと到着する。さらに、ベトナム運輸省は8月中旬、南北高速鉄道の予備事業化調査報告書の最終案を発表した。このように、ASEANでは今、一斉に新しい鉄道インフラへの期待が高まっている状況にある。
イスマイル・サブリ首相は「クアラルンプール~シンガポール間HSRプロジェクトの復活が政権にとって優先事項かどうか」と尋ねられた際、「2016年には、(ナジブ・ラザク元首相率いる)国民戦線(BN)の政権の時代から、計画は完成していた」と回答。今後、プロジェクトが復活された折には、「原材料が価格が上昇しており、政府としてはプロジェクトの全体的なコストを抑制するために、駅建物の縮小を検討するかもしれない」と付け加えた。
先の計画では、クアラルンプール~シンガポール間のHSRは7つの駅を結ぶもの、とされ、シンガポール・ジュロンからクアラルンプール中心部まで90分で行けるようになるはずだった。現在、この2都市間を車での移動すると、国境での渋滞がなければ4時間半ほどで着く。クアラルンプール~シンガポール間の空路は、コロナ禍以前では1日80便(片道ベース)以上が飛び交っており、便数では世界でもトップの水準だった。
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