ナジブ元首相夫人に有罪判決 禁固10年と罰金約10億リンギ
2022.09.02 政治・社会クアラルンプール高等裁判所は9月1日、サラワク州の学校369校の太陽光設置事業に関する汚職事件で、ナジブ元首相のロズマ夫人(70)に禁固10年と罰金9億7000万リンギ(約303億円)の判決を下した。
この事件は2016年から2017年にかけて、ナジブ元首相の夫人としての立場を利用して12億5000万リンギ相当の事業をジュパク・ホールディングス社に取り図ろうとして賄賂を受け取ったもの。
収賄罪など3件が問われた。
罰金額は先にナジブ元首相に科された罰金額2億1000万リンギを大きく上回り、マレーシア史上最高の罰金額となった。
裁判長はこの罰金額について「要求した1億8750万リンギと受け取った650万リンギの合計を5倍したため」と説明。
2009年マレーシア汚職取締庁法では収賄罪は禁固最高20年以下および謝礼額の5倍以上の罰金刑が科されると記されている。
判決文は116ページにもおよび、裁判長は夫人を痛烈に批判。
検察側は夫人とナジブ元首相の録音データを証拠として提出し、そこで夫人が元首相に対して「命令口調で指示した」と裁判長は断罪。
夫人の威圧的な態度は公務員にも影響力を行使したと有罪の理由を説明した。
夫人の弁護士は「一夫人がどうやってこの金額の支払いができるのか」と罰金額に疑問を呈したが、判決では罰金額を支払われない場合はさらに10年の禁固刑が科されると付言した。
夫人は判決後に涙を流し、「あまりに悲しい」とコメントを残した。夫人は控訴する見込み。
ただ、夫人に対して同情する国民は少ない。
2018年の家宅捜査では自宅から約2万点にのぼる高級品が次から次へと発見されたうえ、それまでの高慢な態度が国民のひんしゅくを買っていた。
なお、夫人にはこのほかにも脱税や資金洗浄罪など17件で起訴されている。