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政権運営に最大の危機 与野党から退陣迫られ国会は延期-2021/07/30
政権運営に最大の危機 与野党から退陣迫られ国会は延期-2021/07/30
2021.07.30
政治・社会
ムヒディン政権が危機に立たされている。下院議席の過半数ぎりぎりで成立している同政権に対して特別国会の開催で野党だけでなく、与党内からも辞任の声が挙がっている。
ことの発端は、タキユディン首相府相(国会・法律担当)が7月26日に野党からの批判を受けて感情的になり、緊急事態宣言で出された緊急条例を7月21日にすべて廃止したと下院で突然発言したことがきっかけ。野党議員から手続きなどについて疑問の声が挙がっていた。
これを受けてアブドゥラ・マレーシア国王は29日に「担当相の発言は国会を混乱させ、正確な発言ではない」と不満を声明で表明。緊急事態宣言の延長をしないことや緊急条例を廃止したことについては「承認していない」とし、国会でも議論されずに勝手に廃止されたとも指摘して怒りをあらわにした。そのうえで国王の職権を犯しているとも批判した。国王が政権を批判するのは異例。
この国王の発言をさらに受けて、野党側は同政権の退陣を一斉に要求。人民正義党(PKR)のアンワル・イブラヒム総裁は「国王を侮辱して真実を言っておらず、国民を混乱に陥れている」と批判して即座に退陣するよう要求した。
また、野党のマハティール前首相も「首相には緊急条例を廃止する権限がないことを知るべきだ」と批判した上で、「国会に嘘をついた」として辞任を求めた。
一方、与党である統一マレー人国民組織(UMNO)のアフマド・ザヒド総裁も29日に「国王への背任であり、憲法に違反している」として首相とタキユディン首相府相の辞任を要求する声明を出した。同党は首相を支持していないとした一方で、同党議員に対しても不支持を求めた。 同党所属のイスマイル・サブリ副首相兼国防相は「首相は(下院過半数の)111議席以上の支持を得ている」とわざわざ声明を発表して落ち着くよう国民に求めたが、同党内で現政権への支持に対して分裂していることを露呈することにもなった。
下院審議は混乱状態となり、モハマド・ラシド副議長は8月2日まで国会を延期すると宣言。理由は「下院議員で感染者が2人出たため」と説明した。26日から28日まで国会に来た議員は検査を受けるよう求めているが、野党側は議長と副議長の辞任を求めている。 ■首相が弁明 ムヒディン首相は7月29日午後、国会内で混乱していることを受け、声明を出した。
声明では「すべての手続きは憲法と法に基づいて行っている」と述べ、国王は連邦憲法に沿って内閣の助言を受け入れて承認する必要があると指摘。ただ、声明では国王が承認したかどうかについては触れておらず、事態の収拾にはほど遠い状況が続きそうだ。
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