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ムヒディン前首相 無念の退陣-2021/08/17

ムヒディン前首相 無念の退陣-2021/08/17

2021.08.17 政治・社会
ムヒディン首相が8月16日午後に辞任した。昨年3月1日に就任し、政権発足直後に新型コロナウイルスの国内での感染が深刻化し、活動制限令(MCO)の導入など感染防止に腐心した政権だった。未曾有の感染拡大もあって、下院議員定数の半数の支持をかろうじて確保して政権を運営してきた。
しかし、今年に入って与党である統一マレー人国民組織(UMNO)のアフマド・ザヒド総裁は政権を揺さぶる発言を繰り返し、1月12日にはムヒディン首相はアブドゥラ国王に対して非常事態宣言の発令を助言。表向きは新型コロナウイルスの感染者激増に対する措置としていたが、国会を凍結させ、選挙実施も不可能にさせるための宣言とも映った。
与野党からの再三の要請に応じ、首相は7月末に国会を開催。しかし、同宣言に伴う緊急条例の廃止を突然担当相が明らかにし、野党は退陣を要求。同総裁も批判のトーンを強め、信任投票動議を提出する動きも見られたが、国会は突然閉鎖された。国民からはこれが逃げていると映った。
8月2日に同宣言が解除されると、同総裁は再び政権への支持撤回を表明。閣僚数人が辞任し、首相はテレビ演説で野党への協力を求めて延命策を模索したものの、望みの野党からも反発を受けた。ここ数週間は新型コロナウイルスの感染者数は増加の一途をたどり、過去最多の人数の記録も更新。感染対策や経済対策でも国民の不満が高まり、若者を中心に抗議デモも展開され、八方塞がりのなかでムヒディン首相は辞任に追い込まれた。
辞任後にテレビ演説を行ったムヒディン氏は「権力に飢えた人たちによって崩壊させられた」と恨み節を出し、UMNOの一部議員らを批判した。
ムヒディン氏は2015年、当時のナジブ首相に対して政府系ファンド1MDBの不正流用について批判すると副首相を突如解任された経緯がある。そのことについても演説で触れ、「自分の信念を曲げることはできない」と訴えた。国家を私物化しようとする人たちとは妥協できないとも語り、無念をにじませながら退陣した。
一人の首相としてはマレーシア史上最短の18カ月の短命政権となった。
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