イスラム法学者「身分証の氏名欄にジャウィ記載の欄を」
2016.11.25 政治・社会連邦直轄区のイスラム法学者ズルキフリ・モハンマド氏はこのほど、内務省国家登録局(NRD)に対して身分証などにジャウィで氏名が記載できる欄を設けるよう求めた。ジャウィとはアラビア文字で表記したもので、ローマ字で記載したときと名前の発音が変わってしまうため混乱を避けるためには必要と説明した。
同氏によると、ジャウィのスペルをもとに名前の意味をつけるが、ローマ字に変換した際に発音自体が変わり、その意味も変わってしまうことから、混乱が生じているという。例えば、「アリフ」と「アイン」はジャウィ表記では別々の文字になるが、ローマ字ではAだけの記載となってしまう。シンガポール政府は身分証でジャウィとローマ字の両表記を認めている。
同氏の提案に対してほかのイスラム法学者も軒並み賛意を示している。
昨今、ジャウィ表記をもとにせずに、子どもの名前をつけてしまうことから、アラビア語では悪い意味になっている名前がしばしば見受けられるという。このため、同氏は名前をつける際はイスラム法学者などジャウィを読める人に必ず相談するよう呼び掛けた。
ジャウィ表記は15世紀に中東からアラビア商人がマレー半島に到来した際にもたらされた。もともと文字のなかったマレー人は以来、このアラビア文字表記を独立前まで使っていたが、独立後は政府の方針でマレー語の文字表記はローマ字とすることが決まった経緯がある。(Mtown)